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米國の早産兒對策と、その研究調査方法を中心として
辻 達彦
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1國立公衆衞生院母子衞生學部
pp.10-13
発行日 1952年12月15日
Published Date 1952/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201139
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早産の豫防及早産兒養護の問題が最近頓にその重要性を認識されてきたが,公衆衞生發達の指標とされている乳兒死亡の主要死因を見ると早産及それに關係する死因は乳兒死亡の約3割に達している。從つて,早産問題が大なる公衆衞生のテーマであることは今更説くまでもない。乳兒死亡對策が成功し,乳兒死亡率が出生千に付て30前後となつている米國では今後殘された課題として早産兒問題に熱心であるのは洵に自然な成り行きである。一方,吾國は乳兒死亡率漸く60臺を割つたとはいえ,未だ約20年のひらきが歐米先進國との間にあり,先に解決すべき幾多の問題が依然として山積している實状である。然しながら早産兒豫防の問題を取上げ,吾國として考慮施策することは早すぎるとも遲すぎることはまずあるまいと思われる。
母子衞生の立場からこの問題をみると,臨床産科及小兒科にまたがり且從來兩者から幾分繼子扱いの傾向のあつた新生兒期養護の方法に關係し,又衞生行政の立場からみて自宅分娩が大部分をなす吾國の特殊性の故に,出産直後これに干與することは容易なことではない。著者は今年米國に於ける早産兒對策の實状を若干見聞する機會を得たので,2,3の實例を引用し,又基礎的調査研究方法のモデルを紹介すると共に,併せて吾國の母子衞生の立場から,對策の可能性に些か論及してみた。
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