研究報告
公衆浴場浴水の汚染度に就いて(1)
洞澤 勇
1
,
岩戸 武雄
1
,
萩原 耕一
1
1公衆衞生院
pp.231-232
発行日 1951年4月15日
Published Date 1951/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200827
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公衆浴場は古くから日本に於ては一つの公衆に對する水浴場であると共にRecreationの場處として發達してきた。從つて我が國の社會に於ては最も公衆の生活に溶け込んだ施設として重要な役割を演じ,公衆衞生上の立場から大いに今後も檢討しなければならないものゝ一である。殊に近時は性病の傳播源の一として注目を引いているが,これ等複雜な問題に對する衞生的な解決は常にその立場を明確にしておかないと種々混亂し,かへつて問題を複雜化する恐れがある。浴氷の問題にしても同樣で,之を公衆衞生なる全般的な立場からみた場合と特殊な問題を主にした場合とを別々に考へるのが妥當であらう。例へば環境衞生面からの標準的な立場からは浴水の全般的な汚染を取扱うべきであるし,性病豫防等の立場からは消毒を主として考えなければ問題の解決には近ずかず,又,この兩者を混同して考えれば仲々適正な結論には到達しない。又,第一の立場からみた場合,著者は浴水と上り湯の汚染度は別々の標準によつてみるべきであると考える。そして,環境衞生的な立場から後者は飮料水と同樣の汚染度におくべきであるし,前者は家庭下水の1種であるからもつと汚染度を高い所におくのが實際的であると思う。で,著者等はこれらの點から浴水の衞生的な基準を何處におくべきかをもつと科學的に考究するためにその資料の一として浴水の汚染度を調査研究している。
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