研究報告
東京都内公衆浴場の汚染状況並にクロラミン消毒試驗成績
斎藤 功
1
,
小林 正武
1
,
両角 清
1
,
大坪 正一
1
,
中山 袈裟典
1
,
川口 京子
1
1東京都立衞生研究所
pp.41-46
発行日 1953年1月15日
Published Date 1953/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201159
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公衆浴場の衞生状態に就ては,戦前から注意されており,調査も屡々行われているが、総ての事情が最悪であつた終戦後の各浴場の混雑と衞生状態の悪化は甚しいものがあつて種々の物議を醸し,遂に公衆浴場法の制定をも見るに至つた。著者等は斯かる情勢に鑑み既に1948〜49年度に浴場の実態調査を行い1)浴水1cc中の一般細菌数(以下単に細菌数と略称)が甚しきは数百万乃至数千万に達する事も少くないものを観た。終戦前後の浴場衞生上最も憂慮せられたものは矢張浴場に於ける伝染病の感染乃至媒介であつて,前者では性病特に淋疾,後者では発疹チフスの虱による媒介である。浴場脱衣室のDDT噴霧消毒は,後者に対する処置としていち早く登場し,現在では普及している。然し前者に対する積極的処置たる浴水及び浴室の消毒は現在迄行われなかつた。之には色々直接乃至間接の原因もある訳ではあるが,直接且つ根本的の原因は適当な消毒方法が従来は見出されていなかつたという事にあると思われる。今迄浴水の塩素乃至晒粉による消毒試驗は二,三の先人によつて試みられたが,2)3)4)浴客に対し有害な刺戟が強過ぎて操作に困難が多く実用性が認められずに今日に至つている。
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