「ひげのある天使」の製作について

　教育，宣傳映畫はつまらないものと定評がある。純粹に科學映畫ならば自然そのものに含まれる合理性，構成美などが人を索きつけるが，これに劇的要素が結びつくと，科學としては説き足りず，劇としてはとつてつけたようで臭味ぷんぷんのあくび映畫が出來上るのが，常である。

　今までの結核に關する映畫も，2,3の學術映畫を除いては，みなこの失敗を繰返していた。加うるに切りつめた豫算の範圍内での無理な仕事になり勝ちなのも，いい映畫の出來ない大きい原因である。