衛生公衆衛生学史こぼれ話
30.鼻毛(はなげ)
北 博正
1
1東京都環境科学研究所
pp.521
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207310
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昔,加賀百万石の前田の殿様が,鼻毛を長く伸ばしていたので馬鹿扱いされたということであるが,幕府は何とか理屈をつけて,前田家を潰そうと隠密を放ったりして狙っていたからで,侍たちも剣術よりも謡曲をやったり,お茶をたてたりして,文弱の徒を装い,戦意のないことを思わせて,何とか難を切りぬけて来たのである.このほかに鼻毛が登場する文献はなさそうである.
ところが鼻毛は高度の大気汚染地区では,長くなり成長も早いという.人間の赤ん坊は生まれた時は鼻毛は生えていないが,成長するにつれて生えて来る.大気汚染のひどい地区の赤ん坊は早くから鼻毛が生えて来るといい,サルも野生のものでは鼻毛はないか,あってもほんの僅かであるが,大気汚染のひどい地区の動物園や公園の檻に飼われているサルでは,鼻毛が生えて来るという.
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