保健所便り・3
大阪府モデル—豊中保健所
橋本 正己
1
1大阪府豊中保健所普及課
pp.145
発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200793
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この保健所は昭和17年3月舊保健所法に基いて設置されたものであるが,昭和23年7月大阪府のモデル保健所として新發足以來熱血漢古川前所長及び安田現所長を中心として50餘名の全職員は一丸となり活溌な保健所活動をを展開しつつある。先ずその特長は保健所地區の特異な社會的環境である。即ち大阪の都心を去ること僅々3里の田園都市で擔當人口は標準の100,000,交通に惠まれ住宅街を中心として商店街,工場街より農村山村地帶をも包含し住民の大部分は所謂知識階級で教育程度高く,醫療施設に惠まれ特に注目すべきは當市の國民健康保險が全國のモデルとして療養給付のみならず公衆衞生方面に目覺しい活動を行つている事で現在市民病院の外に直營診療所5ヵ所,專屬保健婦13名を有している。又當市は純然たる消費都市で財政的に甚だ貧困であるに拘らず教育に大いに力を入れ殊に公民館,圖書館,教育研究所等の活溌な活動は注目に値する。これら當保健所地區の社會的環境は新しい保健所活動特に健康教育の發展に絶好の條件を備えていると言えよう。
モデル保健所として新發足以來の各種保健所事業の劃期的な躍進は言うまでもないが,何と言つてもその最大の特色は創業の當初より"健康教育至上主義を傳統として"保健所における健康教育活動は如何にあるべきか"の問題を實踐的に解決するため組織的な健康教育活動を活溌に展開しつつある事であろう。
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