統計の頁
統計的に見た衞生行政の實績
曾田 長宗
1
1厚生省統計調査部
pp.133-135
発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200788
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最近に於て衞生行政の實績がどのように向上したかを統計的に見るには,色々な見方がある。中央或は地方の衞生行政機構がどのように整備したか,その人員,豫算がどのように増加し充實したか,豫防衞生施設又は醫療施設の増設や改善が順調に進んでいるかどうか,その所要人員が充分に養成され,配置されているかどうか,又これ等の機構や施設が滿足に運營されているかどうか,傳染病の豫防接種や,食品衞生,環境衞生の監視,各種の健康相談,保健婦の家庭訪問指導,等の事業が期待されている通りの規模で實施されているかどうか。そして最後にこれ等の公衆衞生各般の事業の結果として,疾病を防止し,その迅速な治癒を計つて死亡を減じ,體格,體力の改善,作業力の増進をどの程度に實現し得たか,を數量的に明かにするのは,衞生行政の分野に於ける統計の任務である。
わが國の衞生統計は,從來極めて不備であつて,これ等の状況を全面的に把握する資料に乏しかつた。戰後に及んでこの缺陷が痛感され,急速にその整備に力がそそがれることとなつたが,遺憾ながら今尚その目的を達し得たとは云い得ない。全面的に以上の事實を取りまとめたものは年々厚生省より刊行される「衞生年報」であるが,今日公けに配布されているのは昭和21年の事實を收載したものが最新刊である。
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