海外文献
結核・經濟・環境,他
田多井
pp.131-132
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200716
- 有料閲覧
- 文献概要
環境衞生の先覺者Simon卿が,家畜と同じ生活を送るロンドン下層階級に注目してから,健康における經濟的環境的因子が重要視され,關係統計資料も多數えられた。しかしながら,彼やVirchowが指摘したような激しい社會的不均衡は,今日の西歐諸國では消失し,北歐では外國旅行者に,經濟階級が判斷しかねる程になつている(1)。
しかしバフアロー市の年令別結核死亡率(1939〜1941)には,中年以上の男子において,經濟地區間に明瞭な差異があらわれている(2)。かく經濟状態と結核死亡率との逆相關が,成人女子よりも成人男子に大きいことは,そこに含まれる因子としての經濟状態以外に,職業状態が肉體的過勞として重大な影響を與えていると推察される。これに關しテネシー州の職業階級別死亡率(1944〜1946)をみると,職業的環境がいかに役割りを演じているかゞ判る(3)。その數字をさらに,1930年におこなわれた10州の調査(4)と較べると面白い。下位階級にいたるほどその15年間に死亡率が著しく改善された。しかもなお,經濟階級間にある疾病の不均衡は,結核に關するかぎり全くとり除かれた譯ではない。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.