特集 公衆衞生と経済
藥品の経済学—製藥企業の計画論的課題について
常松 已一
1
1薬業経済研究所
pp.45-50
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201628
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まえがき
今日の製藥企業を,一般における諸産業のそれと同じく,経済的行為を主体とする「私企業」体と見做すか,それともこれに公益性を冠することによりいわゆる「医療機関」の一環としての従属的経済体と見做すか,ということで問題の解釈が違つてくる。
いま後者の考え方からすると,医療機関のヘゲモニーを握るものは,すなわち「医師」であり,またそれと裏はらに「藥剤師」の存在があるのだから,この兩者に先導されて一つの企業体を形成しているのが製藥企業である,という主張がでてくる。特に今や国民医療の8割までが社会医療となつてきて,これが云わずもがな「医療の社会化」となつて現実化してきている以上,これに従属する製藥企業だけを自由に放任しておくことは不当であるという見解ともなつてくる。
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