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改良便所普及農村に於ける寄生虫卵檢査成績
鈴木 武夫
1
,
原田 文雄
1
,
助川 信彦
1
1神奈川縣衞生研究所
pp.156-158
発行日 1950年3月15日
Published Date 1950/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200601
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都市と農村との寄生虫保有率の高いことは終戰後の著しい現象の一つである。即ち戰前の全國平均保有率は43%前後にすぎなかつたのが,昭和21年には67%に上昇し,その後は更にこれを上廻つている。又戰前都市と農村では保有率が異り,例えば昭和13年迄の横濱市の有卵者25.28%に對し,神奈川縣郡部のそれは59.02%となつている。即ち當時寄生虫問題が主として農村を對象にとりあげられた所以である。かくて都鄙を問わず,その根本的な豫防對策としてとりあげられたのが便所の改良であつた。その結果農村に對して考案せられたりが,高野等による所謂厚生省式改良便所並に厚生省式共同肥料溜2)であつた。成瀬村では昭和16年5月に厚生省式3槽改良便所が設置され現在に至つている。即ち當時戸數489(人口2,844)に對し,改良便所574個,この外に共同肥料溜26,合計600個が設置された。當村の寄生虫卵檢査は昭和13年に日本勞働科學研究所1)により全村民を對象として行われた,その後昭和17,18年小學校兒童に就いての檢査が東京衞生試驗所に依つて實施された。今回は昭和23年12月投藥前の檢便を3日間に渡つて實施,その後直に有卵者に對して投藥し,翌24年1月に服藥後の檢便が行われた。以下その成績の概略を述べる。
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