書評及新刊紹介
書評 肺結核治療法の變遷/新刊紹介 性教育(Sex Education)小讀本集(Booklets)
K. M. 生
pp.233-234
発行日 1948年8月25日
Published Date 1948/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200338
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結核の研究に就ては,岡西の結核か結核の岡西かといふ程誠に世上に知られて居る。其の岡西順二郞博士が本職の東京都港保健所長や東京醫科大學教授として激務の傍ら今度物したのが『肺結核治療法の變遷』といふA六型の極めて蒲洒たる百頁足らずの小册子であり發行所は吐鳳堂である。
此小册子を通して述べたいことは,治療の變遷といふよりも,寧ろ肺結核全般に通じてのアウトラインを書いたもので,エヂプト,ギリシア,ローマ時代より今日に及んだ荒筋も敍したのであるが,此古代より今日迄結核に關し進歩したのは茲70-80年來のことであり,特に結核菌の發見虚脱療法X光線による診斷に迄及んで居るが療法に化學療法及びストレプトマシンと雖も何等特異なものでは無い,寧ろ所謂人を見て法説け方針がいゝと述べ,終りにBCG等で其豫防に迄言及して居るが,多肢多端に亙る事柄を其要點要點を逸することもなく,之を渉獵して餘す處がない。本書が結核の診療に從事して居る人々にもといふて居るが,一般醫家に對して診療上の好參考書たることを茲に推奨して憚からない。
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