研究と資料
ヴィダール反應實施上の一卑見
鈴木 武夫
1
,
戸邊 政一
1
,
西堀 篤
1
1神奈川縣中央衞生試驗所
pp.248-251
発行日 1948年3月25日
Published Date 1948/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200267
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緒論
ヴィダール反應の陽性を以て腸チフスパラチフスの診斷を下す事は,該反應が發病後早期に表われぬ事に依り迅速を缺き,且豫防接種の影響を受ける點,個人差のある事,其の他種々の熱性疾患(特に結核性疾患)に屡々表れる點等に依り診斷の的確さに缺けることは先人より屡々指摘されて居るところである。腸チフス,パラチフスの迅速且つ確實な診斷を下す事は,防疫上治療上特に重要な問題であるので成書にもある如く血液中の菌檢出に力を注ぎ状況止む得ざる時にヴィダール反應を2囘以上行うべきである。然るに當所に送附された該病に關する1ケ年間の可檢物858件の中82%(704件)はヴィダール反應のみの依頼である。夫れが爲吾々はヴィダール反應の陽性か陰性かが該疾患の診斷に對し實際上如何なる價値を有つかに疑ひを持つて居た所に厚生省のヴィダール指針が發表されたので我々は昨年10月より1ケ年間に亙り,夫等の可檢物に就て實験を行つた結果,ヴィダール反應と菌檢出との關係を聊か明かにする事が出來たので卑見を述べて大方の批判を乞う次第である。
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