原著
腸チフス・パラチフス3種混合ワクチン豫防注射の際の注射方法と注射後のヴィダール反應との關係
倉石 龍雄
1
1日本鋼管病院内科
pp.29-33
発行日 1949年7月15日
Published Date 1949/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200495
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
昭和22年7月川崎製鐵所に於て夏期防疫對策として,神奈川中央衞生試驗所製造にかゝわる3種混合ワクチンを全從業員に豫防注射したところ,第1回0.5 c.c.皮下注射により人によつて局所の腫脹,頭痛,發熱その他の副作用を來たし,長きは5日間以上にも及ぶ臥床を餘儀なくせられる者も見るに至つた。これは今回使用のワクチンはその菌量が從來のそれに比較して増加しているので,その副作用の多いのも止むを得ぬところであつたと思われる。
しかしながらこのまゝ注射を續行せば,當時増産の必要に迫らるゝ當工場の生産にも影響するところ少なからずと思考され,以後試驗的に0.1 c.c.宛皮内注射による方法を行つたところ,副作用を或程度減少せしめることができたが,なお若干の副作用を訴える者も少なくなかつた。この0.1 c.c.宛皮内注射法は副作用を輕減せしめる目的で定められたものであるが(1),この實施に當つては本法と0.5 c.c.宛皮下注射法との間に注射後のヴィダール反應に幾何の差異を認め得るやを,基礎的に檢討しておくことは必要と思われるので,次の如き實驗方法によりこの點を追求し,ある程度の結果を得たのでこゝに報告する。
Copyright © 1949, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.