論述
余等のWassermann反應變法とその實施成績に就て
中村 敬三
1
,
田崎 瑛生
1
1國立豫防衞生研究所
pp.7-11
発行日 1949年3月25日
Published Date 1949/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905433
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まえがき
梅毒血清診斷法として,補體結合反應の上に立脚するWasserman反應(ワ氏反應)には,今日恐らく數十とも考えられる位の多數の變法があるものと想像される。そして國に依つてその方法を異にし,また同一國に於ても,國法によつて統一されていない處では,各人各樣の法式を雜然と行つている有樣であるから,その成績も檢査室によつて一定せず,甲の處で陽性といわれたものが,乙の處では陰性と報告されなどして,問題が問題であるだけに,依頼者を惱ませることが少なくない。從つて我が國に於ても,一日も早く標準術式を制定し,これに依る統一化の實現を切望するものである。ことに性病豫防法が制定され,國民各階層が梅毒血清診斷を廣く受けるように,法律をもつて強く勸奬される今日では,一層本診斷法の責任は重大であり,一歩を誤れば種々の面倒な社會問題をも惹起する懸念が多分にあるから,どうしても專門家の歩み寄りによつて最も妥當な處に一應統一し,少なくともその方法だけは各檢査所とも充分習熟した上に他を兼ねて行うというようにし,その間又各專門家はその方法の改良を研究して行つたならば,問題は圓滑に進んでいくのではないかと考える。
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