研究と資料
東京に於ける乳兒結核
立川 淸
1
1東京都衞生局
pp.245-248
発行日 1948年3月25日
Published Date 1948/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200266
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東京都衞生局では1947年(昭和22年)4月から死因統計を始めたが,それによると東京都區部における4月から9月までの結核死亡は第1表および第1圖B. Dの通りである(全國の傾向は第2表および第1圖C. E)。この半ケ年間の結核死亡を2倍したものを年間の死亡數と見做して,年齢別死亡率を計算してみると,第3表および第2-3圖の如くになる。これを1935年(昭和10年および1940年(昭和15年)と比較すると,男女とも20歳以上では死亡率は大差なく,5-19歳では死亡率が低くなく,0-4歳では約2倍の高率に昇つている。渡邊定博士の計算によると,全國でも乳幼兒の結核死亡率はやはり増加の傾向を示している(第2−3圖)。
しかし4月−9月の6ケ月を2倍したものを年間の死亡と見做すことは正しいだろうか。4月−9月は結核死亡の多い季節ではなかろうか。1939−41年の東京市の月別結核死亡は第4表および第1圖Aの如くである。4-9月は年間に對し,男では49.73%±0.44,女では51.01%±0.46にあたつている。從つて4-9月の結核死亡の2倍をもつて年間の死亡數と見做して差支へないと思われる。たゞしこれは戦前の季節的變動であつて戰後の,季節的變動は趣きを異にするとも考へられる。現に4-9月の全年齢の結核死亡の推移は1939-41年とは甚だしく異つている。
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