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リポイド抗原による血清の普遍的反應性:「僞陽性」に對する基礎的考察,他
重松
pp.287-290
発行日 1947年10月25日
Published Date 1947/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200203
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梅毒の沈降反應による血清學的檢査の際に用いられるリポイド抗原は,梅毒血清と特異的に反應にするものであるが,その特異度の極めて高いものでも,檢査方法に特定の條件を加えることによつて殆どすべての非梅毒血清に對して陽性反應を起さしめ得るものであつて,かかる反應を普遍的反應Universal Reactionと呼んでいる。血清とリポイド抗原とが反應する場合,普遍的反應はいろいろな技術的條件によつて起り得るのであつて,その最適條件は血清稀釋に使用する食鹽水濃度の低いことと,檢査の操作中及び判定までの靜置期間の温度の低いことである。そしてこの際形成された沈降粒子は一般に濃度の高い食鹽水を加えることによつて分散するのが特徴である。
僞陽性反應を起し易い條件もまた低濃度食盛水と低温とであつて,この場合形成られた沈粒子は普遍的反應の場合同様一般に高濃度食鹽水により分散可能である。僞陽性反應のこの3つの特徴(1.低濃度食鹽水,2.低温,3.高濃度食鹽水による分散性)は僞陽性反應と眞の陽性反應との識別に利用することができる。即ち梅毒血清の場合には37℃で最もよく沈降し,高濃度の食鹽水によつて分散しないが,僞陽性反應の場合には低濃度食鹽水及び低温の場合によく沈降し,高濃度食鹽水を加えることによつて分散するからである。
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