公衆衞生の先驅者・1
ヨハン・ピーター・フランク
川畑 愛義
pp.48-50
発行日 1946年10月25日
Published Date 1946/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200045
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
わが國に於て,始めて本格的な"公衆衞生學"の雜誌が生れる時,此の道の先達のおもかげをしのび,ありこし後をかへりみることは,まことに意義の深いことと言はなければならない。歴史は過去を語るとともに未來を示指するであらう。先づ,公衆衞生の人物をかたるには,誰しもJ. P. Frankの名をあげるにためらふものはないであらう。もつとも正規衞生學の父と云へば彼より約70年の後ハイにあたる同じくドイツのMax vou Pettenkofer(1818-1901)を想起し,産業衞生又は勞働衞生の祖としてはFrankに先んずること約110年,イタリーのBernardino Ramazzini(1633-1714)があげられるかも知れない。更に社會衞生學の領域に於てはGrotjahnの名が光る。
しかしその學業に於て,又實際指導に於てとしては他のツイジウを許さない多幸な活働をとげ,公衆衞生に不動の基磐をきづいたのはやはりJohann Peter Frankその人であつた。FrankはドイツのZweibrüeken近くのRotalbenに1745年3月19日に生れた。こゝはドイツ文化とフランス文化の交爭點で,血なまぐさい事件が相ついで起つてゐた。彼の祖父はフランス軍隊の御用商人で戰地で殺され,父はガラス工場の管理者であつた。彼は1761年Metzで哲學を學び,1763年Pontá-Moussonで哲學の學位稱號を得てゐる。
Copyright © 1946, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.