特集 NCD(非感染性疾患)対策
わが国のNCDリスクにかかわる研究体制と対策の現状
今野 弘規
1
,
丸山 皆子
1
,
磯 博康
1
1大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座公衆衛生学
pp.324-330
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103008
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はじめに
わが国のNCD(non-communicable disease)リスクに関する疫学研究は,戦後の米国を中心とした冠動脈疾患の疫学研究に対して,日本,特に東北地方で多発し,国民病と言われた脳卒中と高血圧に関する実態調査とその予防対策とともに発展してきた.それらを通じて,生活環境や生活習慣が欧米とは異なる日本人独自のエビデンスが蓄積されてきた.近年は,循環器疾患のみならず,がんや糖尿病を研究対象にしたコホート研究や,10万人規模の多施設共同によるコホート研究や統合研究がわが国でも行われるようになった.そこで,本稿の前半では,わが国で行われているNCDリスクに関するコホート研究や統合研究について概説する.さらに,後半では,平成25(2013)年度に開始したNCDリスクに対する初の大規模な地域介入研究となる厚生労働科学研究「生活習慣病重症化予防のための戦略研究」の概要を紹介する.
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