視点
人獣共通感染症対策に貢献する獣医学
大槻 公一
1,2,3
1京都産業大学
2鳥インフルエンザ研究センター
3鳥取大学
pp.944-945
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102908
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人獣共通感染症の重要性
私は35年間にわたって獣医学教育,研究に携わってきました.獣医学教育においても,公衆衛生学の講義および実習は主要な科目として課せられています.この科目は通常,「獣医公衆衛生学」と称します.獣医公衆衛生学は,人獣共通感染症学,食品衛生学および環境衛生学を大きな柱としています.この中で,「人獣共通感染症学」が獣医学教育の特徴的な分野です.
公衆衛生学を対物衛生と対人衛生の分野に分けるならば,獣医公衆衛生学は,対物衛生に入ると認識されてきました.確かに,食品衛生学と環境衛生学は明らかにその範疇に入ります.「人獣共通感染症学」も,感染症を人からではなく動物側から主として追究することから,最終的には対人衛生でしょうが,対物衛生の面に重きを置いています.しかし,人獣共通感染症を,対人衛生あるいは対物衛生のみの分野と割り切ってしまうと不都合が生じ,それだけでは根本的な疾病対策を立てることが不可能です.
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