視点
地域診断と公衆衛生看護(保健師)活動
渡會 睦子
1
1東京医療保健大学医療保健学部看護学科
pp.786-787
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102862
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漠然とした課題と公衆衛生活動
「健やか親子21」には思春期の保健対策の強化として,人工妊娠中絶や性感染症なども含まれており,平成17(2005)年の中間評価報告書では,
・10代の自殺率と性感染症罹患率は改善が認められなかった
・10代の人工妊娠中絶実施率は減少傾向にあるもののその要因は明らかではなく,地域格差もあるため,今後さらなる分析が必要である
と挙げられている1).
これまで私は性問題対策にかかわってきたが,保健所保健師としてAIDS対策を担当した当初,コンドーム使用を強く推進していた.しかし,多くの住民の相談を受けるうち,漠然と山形県の性問題は「自分の心と体を守るための自尊心の問題である」と感じた.そのことを機に公衆衛生看護活動を展開し,「生きるための心の教育(性教育)」教材2)を開発し,山形県教育委員会とともに,15歳以上20歳未満の人工妊娠中絶率(年齢階層別女子人口千人対)を,2000年18.3の全国6位から2010年5.0(全国45位)3,4)へと約3分の1に,性器クラミジア感染症を定点あたり2000年8.8から2010年1.405)へと,約6分の1への減少につなげた.
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