視点
地域おこしは公衆衛生から―時代を先取りした保健所活動を
小林 美智子
1
1活水女子大学看護学部看護学科
pp.632-633
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101874
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山に囲まれた長野県から海がいっぱいの長崎県に来て,10年になります.47都道府県で「長」がつくのは長野県と長崎県しかありません.どちらの県も南北に長いのが共通点です.山の民と海の民,住む人々の気質にはじまり,言葉(もちろん日本語ですが,方言として)はもちろんのこと,食生活,特に味付けが違います.かって塩の道を大切にした山の民は塩辛く,一方,砂糖街道に沿って伝わり貴重品だった砂糖でもてなされるのが長崎です.誰も生まれてくる場所を選ぶことはできません.何処に生まれようとも,“生まれて来てよかったと言える”一生を送りたいと誰もが思い,またそれが保障されることが私たちの願いです.
長野県で小児科医として大学の附属病院で働き始めた頃は,ちょうど日本が高度経済成長時代の真っただ中でした.毎日外来に来る子どもたちを診ていて,“何か変だな”と思いました.“病気を治すのが医師の仕事には違いないが,病気に罹りにくい子を育てることも大切ではないだろうか.本当に大切なことは何なのかしら”と考えました.大切なことはいくつもありますが,母乳で育てることもそのうちの1つではないかと思いました.
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