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はじめに
本邦の医療安全推進の取り組みは,約10年の間に大きく変化を遂げている.平成14(2002)年10月には,病院,有床診療所に,医療安全管理体制の整備が義務付けられ,平成19(2007)年4月には,無床診療所および助産所への医療安全管理体制整備が義務付けられた.
平成18(2006)年の診療報酬改定で,医療安全対策加算が新設され,専従の医療安全管理者を配置していることが要件とされ,平成19(2007)年3月には,厚生労働省医療安全対策検討会議 医療安全管理者の質の向上に関する検討作業部会より,「医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針―医療安全管理者の質の向上のために」1)(以下,本指針)が公表され,医療安全管理者の業務が明らかになった.続いて,平成22(2010)年度の診療報酬改定では,医療安全対策加算が医療安全管理者の配置状況によって「専従:加算1:85点」,「専任:加算2:35点」に変更され,施設の規模に応じた医療安全管理者の配置が可能となり,医療安全管理者の配置が促進された.
平成19(2007)年4月1日に施行された第5次医療法改正においては,「医療安全の確保にかかる医療機関の管理者の義務を規定することにより医療安全の確保という施策の方向を明示」という基本的な考え方の下,医療従事者の資質向上を通じた医療安全対策推進を図る内容が盛り込まれた.今後,さらなる医療安全推進を図るため,医療安全管理者だけでなく,感染制御にかかわる院内感染管理者もしくは感染制御チームや,医薬品安全管理責任者および医療機器安全管理責任者などが,チームで取り組む組織的な医療安全推進が求められている.
さらに,平成24(2012)年度の診療報酬改定では,「患者サポート体制充実加算」が新設され,専任の医療対話推進者の配置が要件となり,これまでの医療安全にかかわる組織的な取り組みを再検討し,より一層“チーム力”を高めた展開が望まれる.
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