特集 慢性腎臓病~CKD
CKDの予防・治療標準化と地域医療連携
今井 圓裕
1
1中山寺いまいクリニック
pp.197-202
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102681
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CKDの早期発見の重要性
慢性腎臓病(以下,CKD)は,末期腎不全(以下,ESKD)に至る患者を減らすとともに,腎臓病患者に合併しやすい心血管疾患(CVD)を防ぐことを目的として,2002年にアメリカの腎臓財団により作られた概念である.CKDの定義は,医師,看護師,薬剤師,栄養士などの医療関係者だけでなく,一般住民にもCKDの重要性とリスクを説明できるように,蛋白尿に代表される腎障害の存在,または糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)60ml/min/1.73m2未満と単純なものに決められた1).さらにCKDは早期発見により,治療可能な疾患であり,適切な血圧管理と尿蛋白に対するレニン・アンジオテンシン系阻害薬による治療が確立している.
このシンプルさと分かりやすさから,わが国においても医学界でCKDの概念はすぐに受け入れられ,短期間に広まった.わが国のCKD患者数は1,330万人であり,成人の13%を占め2),新たに見出された21世紀の国民病であることも判明した.CKDは30万人を超す維持透析患者の予備軍であるばかりでなく,心血管疾患発症の最も強いリスクファクターであることから,人類に対する新しい脅威として再認識された.
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