特別寄稿
東日本大震災から1年―岩手県からの報告―被災者の健康に関する長期追跡研究を実施中
坂田 清美
1
1岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座
pp.215-217
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102366
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
東日本大震災による死者・行方不明者数は,12月11日現在19,334人で,戦後最悪の自然災害となった.最大で40万人以上が避難所に避難せざるを得ない状況が発生した.岩手県では12月11日現在で,大槌町が人口の8.6%,陸前高田市の7.9%,山田町の4.2%,釜石市の2.7%,大船渡市の1.1%が犠牲となった.死者・行方不明者数は陸前高田市1,852人,大槌町1,307人,釜石市1,060人,山田町775人,宮古市535人,大船渡市430人で,県全体では6,053人に上り,未だに1,388人が行方不明となっている.
岩手県では被災状況が最も深刻な大槌町,陸前高田市,山田町を対象として,3市町の約1万人を対象に,厚生労働省特別研究として被災者の健康に関する長期追跡研究を実施することとなった.ベースライン調査では,18歳以上に問診票,診察,血液検査,尿検査とともに呼吸機能検査も実施し,18歳未満については,4階級に分けて問診票による調査を実施しているとことである.メンタルヘルスに問題のある人や生活習慣改善支援が必要な人に対して支援体制を構築しながら,脳卒中,心筋梗塞等の発症調査および死亡小票調査により,被災者のリスク評価を実施する予定である.
本稿では,3市町の中で最も早く健診を開始した山田町の18歳以上の問診調査の暫定的な解析結果に基づいて報告することとする.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.