特集 分権型社会における公衆衛生の課題―現場知と専門知の保証
扉
pp.661
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102200
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現代社会における公衆衛生の課題は,生活習慣病,母子保健,感染症,食品衛生,環境衛生,児童・高齢者虐待,薬物依存,健康格差,放射能汚染,災害時の被災者の健康支援など,多様化,複雑化しています.単に法律や制度を当てはめるだけでは対応できない問題が多くなっています.一方,公衆衛生活動の主体が,都道府県レベルから市町村レベルへと移行してきています.特に中核市保健所が増えており,指定都市・中核市の都市に住む人口も国民の3分の1を超えています.
今や市町村レベルにおける「専門知」と「現実知」を結集した公衆衛生活動が求められるようになってきました.しかし,市町村レベルでは「現場知」の蓄積はできても,「専門知」については専門職員の人数が少なく,また人事異動の範囲が限られ,自治体内だけで貫徹した人材育成体制を確保することが難しい状況にあります.他方で,都道府県レベルで機能してきたOJT方式の公衆衛生人の育成システムが崩れてきています.これをくいとめようと,日本公衆衛生学会により認定専門家制度が発足していますが,そこに至る自治体における人材の確保や育成システムが,課題として残されています.
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