連載 地域づくりのためのメンタルヘルス講座・3
「ひきこもり」はどれくらいいるのですか? 背景にあるメンタルヘルスの問題と支援上の注意事項を教えて下さい
近藤 直司
1
1山梨県都留児童相談所
pp.483-485
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102138
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「ひきこもり」の定義と疫学
2010年5月に公表された厚生労働省『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』1)において,「ひきこもり」は「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である」と定義され,「なお,ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが,実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである」という但し書きが付記されている.
ひきこもりケースに関する疫学データとして,上記のガイドラインにおいては,「約26万世帯に,20歳以上,49歳以下で現在ひきこもり状態の人がいる」という推計値2)を採用している.内閣府による調査では,15歳以上39歳以下の人口のうち,「ふだんは家にいるが,近所のコンビニなどには出かける」という「狭義のひきこもり」が23.6万人,「ふだんは家にいるが,自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」という「広義のひきこもり」が約69.6万人という推計値を示している.これらの結果から,緊急に本格的な支援を必要としているのは20~30万人であると考えられる.
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