連載 トラウマからの回復─患者の声が聞こえますか?・13
虐待のかたち・下
永田 剛
1
,
麻生 英子
1
1NPO法人JUST(日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン)
pp.331-333
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102088
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引きこもり生活へ
剛さんは大学へ入ってからも人間関係が維持できず,21歳で引きこもり生活がスタートする.
「集中して何かに没頭するということを自分に許していないので,本を読むこともできず,部屋ではハエが窓から入ってくるのを待っていたりしました.追い掛け回すんです.ハエはだんだん疲れて低空飛行になり,しまいには飛べなくなる.それを摘み上げて,蜘蛛の餌にしました.それから,ボディビルにはまりました.このままの痩せた体ではいけない.もっと強くならなければ.もっと,もっとと,必死でした.エアコンもつけず暑い部屋で失神しながら,限界に挑戦します.疲労骨折もしました.それでも休めない.社会で生きていけないから,厳しく厳しく,自分を鍛えました.苦行を課していたのです」.
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