連載 地域づくりのためのメンタルヘルス講座・1【新連載】
地域のメンタルヘルスの問題はどのように変わっているのですか?
竹島 正
1
,
宇田 英典
2
,
眞崎 直子
3
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター
2鹿児島県姶良保健所
3日本赤十字広島看護大学
pp.321-325
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102086
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はじめに
メンタルヘルスの問題は,例えば,ひきこもり,自殺関連行動,虐待,暴力,アルコールや薬物の乱用,ホームレス状態など,一見すると合理的ではない行動として,私たちの前に表れる.それは精神疾患を背景にするものが多く,その解決には,精神保健医療福祉サービスが重要な役割を担う.わが国の精神保健医療福祉サービスは「入院医療中心から地域生活中心へ」と改革が進められているが1,2),この改革は,既存の精神保健医療福祉サービスにアクセスしているかサービスの近傍にある人たちは視野に入っているものの,残念ながら地域に潜在している深刻なメンタルヘルスの問題をかかえた人たちのことを十分にとらえていない可能性がある.
本シリーズは,深刻なメンタルヘルスの問題をかかえながら,精神保健医療福祉サービスにアクセスしなかった(できなかった)人たちに目を向ける.そして,その人たちの行動に理解を深め,地域の公衆衛生活動の中で,よりよい支援を行っていく一助になることを目的とする.この1年間予定している連載計画内容を表に挙げておく.
本稿では,その第1回として,地域のメンタルヘルスの問題がどのように変わっているか,そして公衆衛生の精神保健活動に期待されていることについて述べる.
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