特集 子どもを護る―社会的不利への介入と支援
「無保険の子」と現代の貧困―毎日新聞のキャンペーン報道を通じて
平野 光芳
1
1毎日新聞大阪本社社会部
pp.208-211
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102052
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きっかけ
「保険証ないねん.先生,湿布くれ」.2008年6月,大阪の養護教諭から聞いた小学生の一言がキャンペーンのきっかけだった.運動会の練習でけがをした男児が漏らしたという.
当時,筆者は社会部で大阪府内東部7市の行政や事件事故取材を担当していた.ベッドタウンとして発展してきた地域だが,近年は高齢化や産業の海外流出などに伴い行財政が悪化.「国民健康保険(国保)の保険料が異常に高く,払えない人が続出している」と聞き,取材を進めていた.そんな中で出会った子どもの一言.「国民皆保険の日本でこんなことが起きているのか.大きなニュースになるかもしれない」.それまで社会保障問題を本格的に取材したことはなかったが,セーフティーネットにぽっかりと空いた穴に直観的に気付き,身震いする思いだった.
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