資料
デンマークにおける保健医療関連データベースに関する調査研究
中谷 直樹
1,2
,
中谷 久美
3
,
中村 好一
4
,
辻 一郎
2
1鎌倉女子大学家政学部管理栄養学科
2東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野
3東北大学大学院医学系研究科行動医学分野
4自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門
pp.160-163
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102038
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はじめに
欧米では国民の保健医療サービス利用(診断名,治療内容,処方薬剤名,医療費など)や生命予後(死亡年月日,死因など)等に関するデータベースを政府が作成して,研究者に提供している国が少なくない.これにより,大規模かつ精度の高い疫学・臨床研究が可能となり,その研究成果は科学的なエビデンスとして人々の健康と福祉に貢献している.一方,保健医療関連データベースでは極めてセンシティブな個人情報が登録されるため,その作成・運用にあたっては,個人情報保護を厳格に行うとともに,国民の理解を求める取り組みも必要となる.
第一筆者(中谷直樹)は,日本学術振興会海外特別研究員として,デンマークに2年間留学する機会を得た.同国は,政府機関による保健医療データベース構築に関して最も進んだ国の1つである.デンマークは北欧に位置し,人口は約550万人である1).デンマークの社会福祉の特徴は,国民共通番号制度である.デンマークでは1968年より国民共通番号制度が取られており,個人番号が記載されたIDカードに福祉サービスの利用情報や医療機関の利用情報等が蓄積されている.
そこで本研究では,デンマーク政府の所管のもとで継続・実施されている保健医療データベースの概要,および研究利用について把握することを目的とした.
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