特集 救急医療を救う
救急医療の充実に向けた病院前救護と救急搬送のあり方
守谷 俊
1
,
丹正 勝久
1
1日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野
pp.987-990
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101967
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救急救命士制度の設定から病院前救護の発展
傷病者を救急病院まで搬送する間のプレホスピタルケアの重要性が認識されはじめ,1991年に制定された救急救命士法1)により救急救命士が誕生した.救急救命士には,3~4%程度であった院外心停止例の社会復帰率の改善が期待された.制度発足から約10年後の成績は,心停止後の生存退院において1,169例中35例の3%に過ぎず,救急救命士による救命処置での社会復帰率改善は実現しなかった2).
そうした背景から,2000年以降は,プレホスピタルの様々な応急処置が追加された(表).救急自動車のみならず,消防自動車も運用する消防ポンプ隊と救急隊の連携により,救急自動車より早く現場に到着可能な場合や,119番通報時に緊急度が非常に高いと判断された場合,救急出動するものである.
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