研究
患者搬送と救急医療
小川 道雄
1
1大阪大学医学部特殊救急部
pp.196-199
発行日 1974年3月15日
Published Date 1974/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204822
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今日わが国の救急医療体系は管轄官庁の相違によって大きく2つに分けられている.患者搬送は正式には救急業務とよばれ,自治省の管轄のもとにあり,法律的には消防法で定義づけられている.一方,その患者に対する医療は厚生省の管轄で厚生省令により定められ,両者は互いに独立している.しかし,救急業務が医療機関に傷病者を搬送している事実を考えると,搬送と救急医療との連携が不可欠であるのは当然である。
現在の救急医療体制のなかにあってこの搬送がその後の傷病者の治療にどの位かかわりをもつかは極めて興味ある問題である.本稿ではまず最近の調査結果を中心にして,救急搬送と医療との関連を検討し,あわせて筆者の提唱する重症患者治療のための医療システムを紹介し,そのなかで患者搬送の占める位置について言及したいと思う.
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