特集 再考:HIV/AIDS予防対策
HIV感染予防と当事者支援における民間団体の活動―これまでの活動実績から
石神 亙
1
,
川添 昌之
1
,
桜井 健司
1
1特定非営利活動法人 HIVと人権・情報センター(JHC)
pp.928-931
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101946
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はじめに
HIVと人権・情報センター(以下,JHCと表記)が屋鋪恭一氏によって設立されたのは1988年,大阪でのことであった.この頃のHIV/AIDSに関わる出来事と言えば,松本・神戸・高知の3大事件に代表されるエイズパニックを挙げる人が多いのではないだろうか.社会防衛的な色彩が強い所謂「AIDS予防法」(1989年2月施行)は,JHC設立主旨とは真っ向から対立するものであった.また,薬害エイズが大きな問題として取り上げられ,被害に遭われた感染当事者や周りの人々(パートナー/家族など)を支援する活動が必要とされ始めた時期でもあった.薬害エイズ裁判提訴の動きもこの頃には起きており,原告を支援する活動も始められつつあった.
このような状況下,「感染経路を問わず全てのAIDS患者,HIV感染者を支援し,感染不安を持つ人のみならず,HIVに関わる全ての人々に対しても支援や働きかけを行い,HIVに対する差別と偏見をなくし,共に生きる社会の創造に寄与することを目的とする(JHC定款より)」ために,JHCは設立された団体である.
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