連載 衛生行政キーワード・69
歯科医師臨床研修制度の見直しについて
和田 康志
1
1厚生労働省歯科保健課
pp.892-893
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101933
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歯科医師臨床研修制度必修化までの経緯
臨床研修制度は,医師のいわゆるインターン制度が先行している.昭和21年国民医療法施行令改正により,医師国家試験を受験する者は,大学医学部卒業後1年以上の診療および公衆衛生に関する実地修練を行うこととなった.しかし,医師免許を持たない状態での修練活動は,研修医の身分,経済保証が不十分であった上,研修病院の指導体制等にも問題があり,昭和39年に「インターン闘争」を引き起こすこととなる.その後,昭和43年の医師法改正により制度が見直され,努力規定として国家試験合格後の2年以上の臨床研修が法制化された.
一方,歯科医師においては,昭和61年,歯科医師の過剰が問題となりつつある中で,厚生省(当時)に設置された「将来の歯科医師需給に関する検討委員会」では,歯科医療の質を向上させる方策として,生涯研修の充実,特に卒業直後の臨床研修を早急に充実し,実施することを最終意見として取りまとめた.この提言を踏まえ,昭和62年に「一般歯科医養成研修事業」が国の補助事業として予算化され,歯科大学・歯学部附属病院で卒後1年間の臨床研修が実施されるようになった.しかし,開始後の歯科医師臨床研修では,研修歯科医の参加数は少なかった.これは臨床研修が歯科医師法に規定されないため参加が任意であったこともあるが,各大学病院での受け入れ体制や実施内容に統一性があるとは必ずしも言えず,臨床研修の理念が卒業直後の歯科医師に伝わりにくかったためであると考える.
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