連載 人を癒す自然との絆・10
虐待のサイクルを断ち切るシェルター
大塚 敦子
pp.408-409
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101803
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「忘れな草」という美しい名前を持つ農場が,カリフォルニア州サンタ・ローザにある.ここでは1992年以来,虐待を受けた子どもたちに動物や植物のケアを教え,虐待のサイクルを断ち切るプログラムを行っている.この農場は,アメリカ最大のアニマル・シェルターである「ヒューメイン・ソサエティ」の一部.そもそもは子どもたちに動物を虐待しないよう教えるためのプログラムとして始まったのだが,やがて動物を手荒く扱う子どもは,多くの場合彼ら自身が虐待の犠牲者だということがわかってきた.
アメリカでは近年,児童虐待と動物虐待の密接な結びつきが認識されるようになった.暴力を受けている子どもは,自分より弱い動物に対して同じように接してしまうことがある.また,子どもが虐待されている家庭では,ペットも虐待を受けているケースが多い.そのため,動物虐待の通報を受けて関係者が立ち入る際には,そこの家の子どもがどのように扱われているかにも注目するようになっている.
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