視点
公衆衛生再考
多田羅 浩三
1,2
1放送大学
2大阪大学
pp.182-183
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101755
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公衆衛生の4つの地平
●社会による防衛
フランクは,『完全なメディカル・ポリースの体系』(1779年)によって,人々の健康状態が破綻するのは,多くの人たちが集まって生活していることから生ずる有害な現象の結果である,つまり「不衛生」と「疾病」と「貧困」がつくる悪循環の結果であることを報告した.人々が乱暴であったり行き過ぎがあったりするのは,彼らに「過誤」があるからではない.だからこれらの事態に対しては,より強い社会の関与が不可欠であり,その社会の関与を彼は「メディカル・ポリース」と呼んだ.この人々の健康課題は,人々の「過誤」によるのではないという理解の上に,人類の今日の公衆衛生は構築されてきた.
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