特集 超少子化と向き合う
少子化対策は何を優先すべきか?―保育サービス充実,労働時間短縮,および男性の育児参加支援
坂爪 聡子
1
1京都女子大学現代社会学部
pp.577-580
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101609
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近年,少子化対策が矢継ぎ早に打ち出されている.1994年の「エンゼルプラン」は保育サービスの充実を重視したものであったが,1999年の「新エンゼルプラン」では,仕事と育児の両立支援の観点から保育サービスの充実に加え,雇用環境の整備等も盛り込まれた.さらに,2002年の「少子化対策プラスワン」では,男性の働き方の見直しや育児休業制度の取得促進が挙げられ,男性も含めた両立支援策が示された.現在,両立支援を中心に,子育て家庭すべてを支援するという観点から,多様な対策が講じられている.しかし,出生率の低下傾向に歯止めはかからない.状況に適していない対策も少なくないのではないか? 両立支援の充実度は地域や企業により異なり,個人を取り巻く状況は多様化している.その如何によって対策の効果は異なるはずである.今必要なことは,状況をパターン化して見極め,それに応じた対策を的確に講じていくことではないか?
本稿では,保育サービスの充実と労働時間の短縮,男性の育児参加支援の3対策に注目し,その効果を理論的に分析する.その上で,対策間の関係性を踏まえ,効果的な対策を明らかにする.
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