特集 自治体中心の新たな健康政策―Health Impact Assessmentの導入
健康の社会的決定要因とそれに対する健康政策の国際的動向―健康都市プロジェクト
高野 健人
1,2
1東京医科歯科大学大学院健康推進医学分野
2WHO健康都市・都市政策研究協力センター
pp.478-482
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101586
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
健康政策において自治体の役割は重要である.特に,包括的な地域保健プログラムは基礎自治体を単位として実施すると効果的である.このような包括的地域保健プログラムのひとつとして「健康都市(ヘルシーシティーズ:Healthy Cities)」プログラムがある.「健康都市プロジェクト」と呼ばれる場合も多い.
「健康都市プロジェクト」は1980年代から世界保健機関(WHO)の欧州地域事務局が中心となって提唱し1),1990年代後半からは世界各国の多くの都市自治体において取り組まれ2),推進事例を蓄積し,経験を共有することで進化,発展してきた.日本を含む西太平洋地域でも2000年にガイドラインがWHOより刊行され3),有効な包括的地域保健プログラムとしてその発展が加速された.
「健康都市プロジェクト」は,住民が直面する健康課題は数多く存在するが,ひとつひとつの健康課題の背景には共通する社会的要因が多く,また保健医療分野だけの取り組みでは効果に限界があるため,多くの部門や部局が関わり,市民や様々な団体とともに,健やかな地域を創造していこうという理念に基づくものである4).
本稿では,健康都市プログラムを,個々の対策とともに健康の社会的決定要因の改善をはかるプログラムとして,また住民参加と部門間連携によって展開するしくみを持ったプログラムとして紹介し,自治体における保健活動の方向性の参考に供したい.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.