特集 健康都市
ヨーロッパの健康都市プロジェクトの実態
遠藤 弘良
1
1WHO本部資金調達課
pp.319-322
発行日 1994年5月15日
Published Date 1994/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901029
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◆はじめに
WHOのヨーロッパ地域事務局で健康都市プロジェクト構想が始まったのは1985年であった.そして翌1986年の暮れまでにヨーロッパの11都市がプロジェクト都市として選ばれ,1987年より本格的な事業がそれぞれの都市で実施され始めた.しかし11の都市で試験的に始められた本プロジェクトは,その後次々と参加都市が増加してゆき,しかもヨーロッパの都市に限らず,世界的に広がっていった.そしてWHO/EURO健康都市プロジェクトの第1期目が終了した1992年の時点では,実に19カ国,650都市が参加するという一大プロジェクトに発展していた.
健康都市プロジェクトは,WHOの掲げる「Health for All by the Year 2000」という戦略を都市という環境の中で実施し,都市における新たな公衆衛生活動のあり方を探ろうとしたものである.
これまで健康問題は保健医療従事者だけが中心となって取り組んできた傾向があるが,このプロジェクトの特徴は,健康問題を都市における様々な政策立案の中に組み込んでいくこと,一般住民を企画段階から巻き込んでいくことであった.
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