連載 パートナーシップ時代の国際保健協力―これから国際保健協力を志す若者への10章・7
国際保健における知的所有権問題とUNITAIDなどの新しい動きについて
鷲見 学
1
,
エドワード・ベラ
2
,
武井 貞治
3
,
中谷 比呂樹
2,4
1世界保健機関本部総務局
2世界保健機関エイズ・結核・マラリア及び特定熱帯病局
3UNAIDSモニタリング
4世界保健機関事務局
pp.294-298
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101540
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国際保健は,公衆衛生や医学・医療といった伝統的な領域を超えた広がりの中で展開しつつあることは繰り返し述べてきたところであるが,今回は知的所有権の問題を取り上げ,新たな広がりを実感していただくのが本稿の目的である.世界の保健水準向上にはワクチンや治療薬などの医薬品が廉価かつ安定して供給される必要があるが,その阻害要因として,知的所有権とその保護が近年注目されるようになっている.しかし,一般論としては,技術開発の主役は民間企業であることが多く,知的所有権とその保護による利益は,研究および開発の最も重要なインセンティブである.そのため,過剰な緩和策は技術開発を滞らせ,人類の長期的利益を損ねかねない恐れもある.そのバランスをどうとるか,課題軽減のため,どのような革新的な取り組みがなされているか,述べてゆくことにしよう.
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