連載 パートナーシップ時代の国際保健協力―これから国際保健協力を志す若者への10章・6
新たな国際協力メカニズムの出現―世界エイズ・結核・マラリア対策基金などの活躍
武井 貞治
1
,
鷲見 学
2
,
中谷 比呂樹
3
1国連合同エイズ計画モニタリング
2WHO(世界保健機関)本部総務局
3WHO(世界保健機関)事務局
pp.216-220
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101521
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第1~5章の中で,国際保健のランドスケープの変化を見てきたが,こうした構造変化の大きな要因は,パートナーシップ型の支援を支える新たな国際協力メカニズムの出現である.特に,世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)に見られるように,豊富な資金量を基盤として発展途上国における大型の保健支援を行うと同時に,途上国ごとに設置される国別調整メカニズム(CCM:Country Coordinating Mechanism)を通じて,保健支援のパラダイムを世界的なレベルで変革してきた.こうした構造改革は,日本がG8議長国を務めた2000年の九州・沖縄サミット以降活発化しており,ゲイツ財団や米国の大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)に見られるように,大型の保健支援が特徴となっている.
本稿では,こうした新たなメカニズムの出現を概観するとともに,増大する国際保健の資金量と世界の抱える実情,そして日本の国際貢献について解説する.
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