特集 現代の貧困と健康
生活困窮者の医療問題
本田 徹
1,2
1浅草病院
2シェア=国際保健協力市民の会
pp.704-707
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101397
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21世紀初頭の日本社会における生活困窮者は,①老齢基礎年金などだけが頼りの,最低生活を強いられている高齢者,②生活保護を受給している個人や家族,③派遣労働や不定期就労で安定した収入を得られない若者・壮年層(いわゆるワーキングプア),④ホームレス者やそれに類似した境遇の人々,⑤在日外国人(特に資格外就労者,オーバーステイ者)など,多様な人々を含む.これら異なった条件下に置かれた集団それぞれに,異なった医療問題と保健ニーズが存在することはもちろんだが,共通する課題も多い.
筆者は,東京都台東区・荒川区にまたがる「山谷」に隣接した地域の病院で臨床医として働く一方,国際保健の分野で活動するNPO法人・シェアの代表として,海外での保健教育,HIV/AIDS,プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)にかかわる仕事を継続してきた.シェアでは,1991年より在日外国人の健康相談に応じる形で,彼らの保健上の課題を共に考え,分析し,医療アクセスの改善や人権の保障などのために微力を注いできた.
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