特集 地域における医師職のあり方
メディカル・スクール導入をめぐって―医師養成のあり方
福井 次矢
1
,
日野原 重明
1
1聖路加国際病院
pp.630-633
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101379
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最近,メディカル・スクール論議がかまびすしい.もうずいぶん前になってしまったが,平成3(1991)年の文部省令改正による大学設置基準の大綱化とそれに伴う大学院重点化の際,メディカル・スクールの導入の可能性をめぐって様々なところで議論が交わされたことがある.当時の文部省高等教育局医学教育課長が,わが国の大学医学部をメディカル・スクールに変えることに積極的な発言をしたこともあり,いくつかの大学では医学部教授会でかなり真剣に議論された.その結果,メディカル・スクールに改変することを教授会で決定した国立大学も現れたが,当の医学教育課長が交替したために,メディカル・スクール構想は実現せず,議論もいつの間にか立ち消えになった.
今回は,勤務医不足や地域医療の危機という医師の養成や配置をめぐる社会的問題を背景に,法曹界におけるロースクールの設置という前例もあり,メディカル・スクールの導入がにわかに現実味を持って議論されているように見える.実際,昨(2007)年には,東京都庁にメディカル・スクール有識者検討会が,四病協(日本医療法人協会,日本精神科病院協会,日本病院会,全日本病院協会で構成される病院団体の集まり)にメディカル・スクール検討会が設置され,メディカル・スクールの設置の可能性について議論が続けられている.
私たちは,勤務医不足や地域医療の危機が叫ばれる前から,聖路加国際病院にメディカル・スクールを附設したいとの意向を示していて,筆者・福井は上記2つの検討会の委員を仰せつかっていることもあり,本テーマには強い関心を抱いている.
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