連載 衛生行政キーワード・41
新生児集中治療管理室(NICU)に長期入院している児童に対する取り組み
阿部 奈緒子
1
1厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課
pp.250-251
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101287
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地域における周産期医療体制の充実を図るため,各都道府県において,周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センターの整備や,地域の医療施設と高次の医療施設の連携体制の確保などを目的とした「周産期医療対策事業」を実施しているところであるが,当該事業に関し,多くの地域の新生児集中治療管理室(NICU)および回復期治療室(GCU)と呼ばれるNICUに併設された新生児病室において,一定程度の数の児童が長期にわたり入院を続けている状況にあることが指摘されている.また,先般実施した「周産期医療に係る実態調査」で,多くの地域でNICUの病床利用率が高く,NICUが満床のため,妊婦または新生児の搬送受け入れができなかった事例も存在することが明らかとなった.
NICUおよびGCU(以下「NICU等」という)に長期入院している児童は,すでに状態が安定しNICU等が適切な療養・療育環境でない場合も多いため,児童にとって適切な療養・療育環境を確保するとともに,周産期医療体制を確保する観点からも,各地域において必要とされるNICU等や,NICU等を退院した児童を支援するための小児科病床,重症心身障害児施設等の福祉施設(以下「重心等」という)および在宅での生活を支援する医療・福祉施設等(以下「在宅支援施設等」という)といった後方支援体制を整備することが喫緊の課題となっている.
本稿においては,NICU等に入院している児童に対する最近の取り組みについて概説する.
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