連載 レセプト情報を活かす・11
レセプト情報のデータベース化に向けて
小林 廉毅
1
1東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学
pp.143-146
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101261
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はじめに
連載も残すところあと1回となり,筆者の寄稿もこれが最後となる.そこで今回はレセプト情報をデータベース化する意義と,その際の課題について論じてみたい.
これまでの繰り返しになるが,レセプト(診療報酬請求明細書)とは,医療機関や保険調剤薬局が公的医療保険から支払を受けるために作成・提出する詳細な請求書であり,そこには患者の基本情報(氏名,生年月日,加入する医療保険の情報,診療を受ける医療機関の情報など)や傷病名,診療行為の種類・回数,診療報酬請求額などが原則1医療施設ごと,1か月単位で記載されている.国民皆保険のわが国では,ほとんどすべての診療情報がこのレセプトに集約されるため,レセプト情報を用いた調査分析が広範に進展すれば,様々な公衆衛生や医療経済に関わる課題について解決の糸口が得られ,科学的根拠に基づく医療政策や保険運営への活用が期待できる.一方,データベース化の最大の障壁は,現状ではレセプトのほとんどが紙媒体であり,そのままでは調査分析に使えないことと,記載傷病名の多さや記載法が標準化されていない点などである.
しかし,そのような障壁を乗り越えて,レセプト・データベース化を進めるべきと筆者は考える.
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