連載 レセプト情報を活かす・12【最終回】
レセプトナショナルデータベースと研究利用の可能性
岡本 悦司
1
1国立保健医療科学院
pp.230-235
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101283
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「医療サービスの質向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会(座長/開原成允国際医療福祉大学大学院長,以下,検討会)」が終結し,レセプトナショナルデータベース(以下,RNDB)構想が動き出した.本稿では連載の締めくくりとして,RNDBと公衆衛生研究利用への可能性について述べる.
2007年3月27日に公表された情報化グランドデザインは「2008年度末までに全国規模でのレセプトデータの収集分析のための体制を構築し,2009年度からレセプトデータの収集分析を段階的に実施し,2011年度から厚生労働省において全国規模でのレセプトデータを収集し,分析・公表を実施」とある.検討会は,このRNDBにおける①レセプト情報の収集方法,②分析の方法・用途,そして③国以外によるレセプト情報活用のあり方,を検討する目的で,厚生労働省保険局長の主催で設置された.重要なポイントは③であり,国が構築するデータベースを自治体や研究者が公益や研究目的に活用することを認める,その範囲やルールを検討しよう,という点.RNDBの研究利用が拡大すれば,公衆衛生や疫学研究に寄与でき,それがひいては医療の質向上につながることが期待される.
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