連載 いのちのプリズム・11
釧路湿原に響く弓の音
宮崎 雅子
pp.81
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101258
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「北海道に初めて来て,いきなりここを訪れるのってすごいことですよ」,ガイドの安藤さんにそう言われ,私は武者震いした.
3月初旬の釧路湿原はまだ雪に覆われ,静かに春を待つ.早朝,暗い雪道を向かった先はキラコタン岬と呼ばれる湿原の秘境地.
氷点下13℃.防寒衣に包まれ機材と三脚を担ぎ,私はクルーの列に遅れないように必死で歩いた.
1万年ほど前は海だったというこの岬は,天然記念物区域であり,普段は人が立ち入ることはできない.
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