特集 感染症の危機管理―関連法規改正後の新たな展開
感染症の危機管理はなぜ必要か?
倉田 毅
1
1富山県衛生研究所
pp.820-823
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101162
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はじめに
“危機管理”という語は,この数年大流行語となった.2001年の米国ニューヨークでの貿易センタービル破壊テロ(9月11日),その後23日して発生した米フロリダからワシントン,ニューヨーク等に拡大した郵便物を媒体とした炭疽菌テロは,世界中に“健康の危機管理”,“感染症の危機管理”なる語を,止まることのないシャワーのように巻き散らす元となった.危機管理とは,語ることではない,対応マニュアルを作ればよいということのみではない,具体的にどう対応すべく動いていくか,動かすかである.机上に積んだマニュアル,ガイドラインの山は,そのままでは何の意味もない,その内容をどう日常的に実践させていくかである.
感染症対策の中心は厚生労働省と,実践部隊は,感染症法がそうならば,地方自治体にあるわけで,その指揮系統は,警察庁,消防庁等における指令が瞬時に国々の末端まで及ぶのに比べ,大きく異なっていると言えよう.その違いが各自治体間に大きな質的格差を生むことにつながってはいないだろうか?
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