海外事情
タンザニア・ビクトリア湖周辺の金採掘現場における環境問題
吉田 稔
1
,
赤木 洋勝
2
1聖マリアンナ医科大学生化学教室化学分野
2国立水俣病総合研究所センター
pp.795-798
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101019
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
タンザニアの小規模金採掘は,人々に職を提供するとともに,35万人以上の人々の生計を支えている.金採掘は半公共的であり,今や採掘を規制することは困難となっている.1989~1995年間のゴールドラッシュの時代には金の生産量は4トンを越えていたが,最近は地表面の金鉱床の金が枯渇してきており,生産が減少している.金の抽出に水銀アマルガム法が用いられ,年間8トン以上の水銀が4トンの金の生産に対し使用されている.この水銀が環境に放出されるため,水銀による環境汚染や健康影響が,この国では大きな社会問題となっている.
今回,タンザニアの数ある金鉱地の中で,世界第2位の淡水湖であるビクトリア湖周辺に点在する金鉱地の1つ,ゲイタ金採掘現場を視察し,この国の水銀による環境汚染の実態を知り得る機会を得たので報告したい.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.