報告
神経・筋難病者の摂食実態調査―嚥下障害を持つ難病患者への生活支援について考察する
内野 英幸
1,2
,
寺島 敬子
3
,
飯澤 裕美
3
,
池原 以代子
3
,
太田 和美
4
,
藤田 由紀
5
1前長野県大町保健所
2現新潟県小出健康福祉事務所
3長野県大町保健所
4市立大町総合病院
5厚生連安曇総合病院
pp.799-804
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101020
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
当保健所では,平成10年度から難病患者(表1)を対象に定期の保健所難病デイケアを実施しており,デイケアを拠点にし,難病患者への継続的なかかわりを持ってきた.デイケアで,食事を共にする場をもつ中で,難病患者において特に神経・筋難病者は,病状の進行に伴って嚥下障害や摂食機能の低下がしばしば認められてくることを実感した.食は,生命維持に不可欠であるばかりか,障害や重篤な状態となっても生きる喜び,人としての尊厳を与えてくれるものである.そこで,神経・筋難病者の生活の中から,食機能として摂食・嚥下障害に焦点を当て,実態調査を行い,生きがいや人間としての尊厳,健康を守る観点から,難病者のQOL(生活の質)を高めるための食生活支援を探ることにした.
対象と調査方法
1. 訪問実態調査
面接対象者は,管内の特定疾患医療受給者証交付申請において把握されている入院あるいは在宅の神経・筋難病(パーキンソン病,脊髄小脳変性症,筋萎縮性側索硬化症,多発性硬化症,重症筋無力症,ハンチントン舞踏病,シャイ・ドレーガー症候群,スモン,クロイツフェルト・ヤコブ病,後縦靭帯骨化症,関節リウマチの11疾患)を有する者74人と,その介護・看護者である.調査方法は,調査対象者に事前に本調査の主旨と保健所保健師訪問の旨を封書により通知した上で,個々人に対して電話等によって訪問日の日程を決め,当保健所作成の生活・評価様式(表2)に基づいて保健師が訪問し,聞き取り面接調査を実施した(調査実施期間は平成13年8月15日~9月30日).
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.